COLUMN 『服の向こう側』 vol.29 / ilish linen safari jacket



 

完璧な商品など存在しない…、

と思っている。

何かを優先すれば、その分犠牲になるものがある。

ハリコシのある英国製の生地で作られたスーツは仕立て映えするが、
重く身体に馴染むまで時間がかかるものが多い。
その反対にイタリア製の柔らかな生地で作られたスーツは
しなやかで馴染みやすいが傷みやすく耐久性としては劣る。


 

メリットとデメリットは、共存しているとも言える。
どちらにフォーカスを当てて楽しむか?がポイントだ。


 

そんなメリットとデメリットが最も分かりやすい物の代表として
『リネン ジャケット』が挙げられるだろう。



シワになるのが嫌だ…、
という意見をよく耳にするが、リネンのジャケットが無くなることはない。
何故なら、それがデメリットではなく
『リネンにしかない独特の存在感。何とも言えないアジ』が
そこにあることをいつの時代の服好きも知っているからだ。


ただ闇雲に「リネンであれば何でも良い」という訳ではない。

服好きの心を捉えて離さない特別なリネンが存在する。
そう、アイリッシュリネンだ。

アイリッシュ リネン自体は良く耳にするフレーズだと思う。
しかし、何故アイリッシュリネンが良いのか?
また、アイリッシュリネンの中でもどんなアイリッシュリネンが良いのか?
を説明しているのをあまり見たことがない。


 

RING JACKETでは、古くから使っているアイリッシュリネンの生地メーカーがある。

アイルランドのSPENCE BRYSONだ。

 

イタリアの薄く柔らかなリネンとは違い厚くヘヴィなリネンを織っている事で有名。
しかし、あまり知られていないが、
ここでも薄いシャツ用のリネン生地からヘヴィなリネン生地まで幅広く作っている。
RING JACKETでは、その中でも目付のしっかりとした
『これぞ、アイリッシュリネンだ!!!』
というタッチのものを厳選して使っている。


それがどんなリネンか?一言で表すと、、、
『大皺は入るが小皺は入らない』リネン。


 

薄く柔らかいリネン素材だと小さいシワが無数に入る。
実は、これがリネンのシワが安っぽく見えてしまう原因の一つだと思う。

それに比べ、上述のヘヴィなリネンだと『ボコッ、ボコボコッ』とした大きな凹凸のあるシワが入る。
これが実にアジがあって良い。このシワこそ服好きが愛するリネンだ。





 


ヘヴィなアイリッシュリネンを用いて作られたベルテッド・ジャケット。

今季のテーマカラーであるGREENというのも洒落てる。
良くあるミタリーアウターとはまた違った雰囲気だ。





 

クラシックなディテールの一つ。背中のアクションプリーツ。

実は、数年前からRING JACKETならではの視点で作られるカジュアルアイテムが密かに人気だ。
1910年代のPコートを独自の解釈で復刻したPコートや、
ワークやミリタリーといった要素とドレスパンツをミックスしたチノパンなど…
隠れた人気商品が幾つもある。

「大量生産してコストを抑える手法より、少量でもコダワリの詰まった商品」を
ベースの考え方にしているので彼方此方で見かけるという商品ではないが
服好きにこそ響く商品群だと思う。


 

「大皺は入るが、小皺は入らない」ヘヴィ・アイリッシュリネンを使ったベルテッド・ジャケット。

とてもアジがあって良い雰囲気に仕上がっていると思う。


着込んでアジが出て着たら、洗濯機で洗ってしまってクシャクシャにしてしまうのも良いかもしれない。
自分用のジャケットを洗ってみようか画策中だ。
多少縮んだり、捻じれたりしても良い雰囲気になるのでは?と妄想している(勿論、洗う場合は自己責任で)


 

また、洗ってみた感じを当ブログでも報告してみたいと思う。お楽しみに。



今回ご紹介した商品はこちら


From RING JACKET creative div. manager  Okuno​



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